狩猟免許取得。命をいただくとは。

昨年、スタッフで狩猟免許を取得しました。

北杜市で農業をしていると狩猟の必要性を感じることがありました。

近隣の方々や同じように野菜を作っている方から野生動物による野菜の被害を耳にします。ここ明野町でも様々な動物を見かけます。

ビヨンドの畑では例年イノシシによりイモ類を食べられたり、猿に桃を食べられたり、鹿に蕎麦や麦を食べられたり、キツネに鶏を食べられたり….。手塩にかけて育て、収穫を心待ちにしていたところを食べられてしまうので悲しいやら悔しいやら。

畑を守れるようになろう。ということで取得にいたりました。

免許取得までの道のり

お医者さんを受診し適性ありの診断を受け、狩猟免許講習会に1日参加し、テキストを読み勉強し、狩猟免許試験に合格すると晴れて狩猟免許が取得できます。そこから狩猟登録をしてようやく狩猟をすることができるようになります。

狩猟免許を取ると、銃やわな等の指定された方法で狩猟することが許可されます。

免許を取るということは、獣を殺すということになります。

まだ一度もトドメを刺したことがないのでその時が来た時にどう感じるのかわかりません。

いざ生きている獣と対峙した時には覚悟をして命をいただきます。

以前から猟友会に所属する知人から捕獲した鹿(既に死んでいる)を頂いて、捌いてみんなでいただいたことが何度かありましたので、その時の体験を書きたいと思います。

朝、山から運ばれてきた鹿はきれいな目をしていて、まだ生きているように錯覚しそうになりました。

両足を縛って滑車を付けたロープを木にかけて、鹿を捌きやすい高さまで引っ張り上げていきます。

足首やお腹に切り込みを入れてナイフを下に滑らせ少しずつ皮を剝いでいきます。

内臓を取り出し、血を水で洗いながしつつ、肉を塊ごとに切り取っていきます。

お肉は塩水にさらして臭みを抜きます。

心臓はぎゅっと引き締まっていて硬いのですが、焼いて食べたらとっても美味しかった。

油がのっていて柔らかい鹿もあれば、硬くて臭みのある鹿もありました。オスよりメスのほうが臭くないそうです。今回はメスでした。

一頭から、私たちスタッフでは到底食べきれない量のお肉がとれます。お世話になっているかたへお分けしたり冷凍保存したり、燻製にしたり。美味しくいただくのですが、鹿肉が他のお肉と違うと思うところがあります。少し食べるとしばらくもうお肉はいいかな、という不思議な満足感があるのです。

野山を駆け回っているエネルギーあふれるお肉は栄養もたっぷりなのでしょうか。

ところで、そもそもなぜ鹿やイノシシなどを殺していいのでしょうか?

鹿の数が増えすぎると起こることは、山の草木が食べられて地表が露出することによる土砂崩れ、野菜など農業の被害、他の生き物の餌となる虫を食べることで生態系のバランスの崩壊などだそうです。

鹿が増えすぎた原因をいくつかあげると、鹿を捕食する天敵オオカミがいなくなった、過剰な人工林造林(植樹される稚木が餌になる)、地球温暖化による降雪量の減少、狩猟者の減少があるそうです。これらも全て人間の営みが関係して起こっています。

数が増えすぎたからといっても命は命で、心の中では本当は殺さなくて済むなら殺したくないなぁと思っています。葛藤です。