ものづくりに共通すること

こんにちは。スタッフのはるかです。

春が近づいてきましたね。
ビヨンドでは、朝から元気な鳥の鳴き声が聞こえるようになってきました。
毎日ほんの少しずつ、風景にしめる緑の割合が増えていくのが本当に美しいなぁと思う今日この頃です。

長い冬の間は農作業があまりできなかったので、古民家の改修をしたり、ものづくりをしたりすることが多かったです。

Do it yourself ! (DIY) をこんなにも体現した冬は人生ではじめてでした。

ものづくり初心者ですが、全てのものづくりに共通する学びがいくつかあったので、それについて書いていこうと思います。

身体全体を使う

最初の頃は、力仕事に慣れていなくて、少し動くとすぐに疲れてしまったり、身体の力が思うように伝わらなくてもどかしい思いをしていました。

色々な作業をする中で気づいたのは、

丹田のあたりに意識を込めて、手や足ではなく身体の軸から大きく動かすととうまくいきやすいということです。

室田さんの身体の動かし方は無駄がなくてとても参考になります。

衝撃的だったのは、10月に室田さんと先輩スタッフのもえさんとハロウィン用のカボチャを掘ったときのことです。

後からその様子を撮影した動画をみて驚きました。

室田さんの姿勢が完全にキマっている…

胸を開いて半身になって、左手でがっちりカボチャを固定しつつ、右手は肩から大きく動かしてナイフを入れる。
なるほど。姿勢から全然違う。

出来上がったカボチャも室田さんのだけホラーです😱

カボチャを掘るというと、指先だけの作業なので指だけ動かしていればいいと思っていましたが、室田さんの動きを見てそれは間違いだったと気づきました。

どんなに小さな動作でも、身体全体を使ってやることが大事なんだなと思いました。

身体の姿勢が心の本気度にもつながってくるような気がします。

細かい作業だとどうしても手先だけに集中してしまいがちですが、実は姿勢の段階から勝負は決まっているのかもしれません。

先を見て動く

先月、小人の家の窓を作りました。

窓というと、普通の四角い枠の中にガラスかアクリル板を入れて終了というイメージだったのですが、
室田さんはこう言いました。

「ちょっと曲がった感じの天然木でアクリル板を挟み込もう!」

「そのためには、曲がった木を2Dに収まるように真っ二つに切る必要があるな、、、」

私は普通の木を切るのにもようやく慣れてきた頃だというのに、その辺に落ちている曲がった木を縦に切るなんてできる気がしませんでした。

「曲がった木を縦に切る」とはどういうことか、言葉ではわかりにくいので図にしました。

意を決して丸のこで切り始めると、すぐに丸のこが前に進んでいかなくなりました。
ものすごい反発で何度もキックバックして、流石に怖すぎ…と思っていると、室田さんがきてアドバイスをくれました。

「丸のこの歯の部分だけを見ていると、丸のこの先端部分がぶつかって進まなくなるから、少し先を見て丸のこ全体の角度を調整するといいよ。」

なるほど!

私は、切っているその部分しか見ていなかったので、丸のこの先端がぶつかっていることに気づいておらず、登り坂に正面衝突しているような状況でした。

ただ木が硬くて曲がっているから前に進まないのだと思っていました。なんて視野が狭いんだろう!

行き詰まった時に、その部分だけを見ていても解決にはならなくて、全体をみてどこに不具合があるのか確かめないといけないなと思いました。

料理でも、今この瞬間の工程に集中してそれにばかり気を取られていたら、その先の段取りが悪くなって結果的に美味しい料理にならなかったりします。

とはいえ先ばかり見ていると今の作業でミスしてしまうということもあるので、

何に注意を向けるべきかということを先に気にかけておくといいなと思いました。頭の中でシミュレーションをすることです。

そういえば、大学受験の時にも、

①回答の筋道を最初にメモしておく。
②問題を解く前にどこで間違えやすいか検討をつけておく。
③途中でつまづいたら、細かい部分よりまず全体の流れを見て間違っていないか確認する。

ということをやるようにしたら、成績が上がったのを思い出しました。
「どこで間違えやすいか」ということは経験によって蓄積されていくものですが、だからこそ一度したミスをちゃんと覚えておいて次に生かすというのが大事だなと思っていました。

自分の経験の中にないミスをすると、「そんなところでミスすることがあるのか!」と感動するくらいでした。

ものづくりの姿勢は受験勉強ともつながっているかも…!

過去の経験から学び、先を見て動く。

身体の使い方だけではなく、時系列的にも全体を意識することが大事だなと思いました。

5歩進んで3歩下がってもう1歩進む

ものづくりでは、5歩進んで3歩下がるということがよくあります。

建具のガラスの修理をしていたら、全部のガラスが治ったと思ったところで他のガラスが割れてしまったり、カットした木材のサイズを間違えていることに後から気づいたり、順調だと思っていたら道具が壊れて修理することになったり、、、

こんなに時間がかかるなら既製品を買ったほうがましだ!と思うこともなくもないですが、
既製品しかない生活よりも手作りに囲まれた生活がいいと思ってビヨンドに来たことを思い出して、諦めずにもう一歩進みます。

ものづくりが楽しいのは、比較がないからだと思います。

競争社会では、比較をするのに時間というのがよく使われます。
例えば受験勉強なら、自分が1時間勉強しても他の人たちが3時間勉強していたら、自分は2時間サボったのと同じように見られます。競技ピアノをやっていたころは、「もっと上手い子は1日3時間練習しているからあなたはそれ以上やらないとうまくならない」というようなことをよく言われていました。

本当は勉強も自分のペースでやれればいいし、ピアノも弾きたいように弾けばいいはずだけど、どうしても競争の価値観に当てはめて自由を奪ってしまうというのは社会に生きているとよくあることだと思います。

競争が身に染み付いてしまっている私にとっては、「時間が無駄になる」ということがとてもしんどかったりします。進歩を生まない時間は無駄だという思い込みが残っているからです。

ものづくりはつくりあげるということが本来の目的であって、時間がかかってもかからなくても、途中で失敗してもしなくても、どっちでもいいんだと思います。真剣にやった結果失敗して時間がかかったとしたら、それはつくりあげるために必要なことだったということです。

競争的な時間の観念から自由になるためのリハビリとしてもものづくりはいいんじゃないかと思います。

最近は休みの日に一人でルームシューズを作りました。百均で買うと100円ですが、自分で作ると5時間かかりました。
昔の私だったら絶対1時間でも耐えられなかった!(笑)
けれど、粘り強くやったら意外とうまくできてなんだか自信が湧いてきました。

冬も終盤に近づいてきましたが、なんだか最近はものづくり意欲が強いです。
ものづくりの本質は、ものづくりだけではなく全てのものごとにつながっているような気がします。


今週末は、燻製機作りをビヨンドでやろうと思っています。
美味しい燻製ができるかな??
楽しみ!!